天然ガスとともに汲み上げられるかん水がヨウ素の原料となります。かん水中にはヨウ素イオンが100mg/L前後含まれており、製造工程はこのヨウ素分を抽出・濃縮して濃縮液とする前半工程と、濃縮液中のヨウ素を精製し、結晶化して製品とする後半工程からなります。
現在、国内のヨウ素製造方法はかん水からのヨウ素分の抽出の仕方によって2つに分類されます。1つはイオン交換という原理を利用して、樹脂にヨウ素分を吸着させ抽出する「イオン交換樹脂法」と、もう1つはヨウ素の気化しやすい性質を利用して、気化させたヨウ素を吸収液に取り込んで抽出する「ブローアウト法」です。小規模で機動的にヨウ素を製造することができるイオン交換樹脂法設備と大規模設備であるブローアウト法設備とを併用することでより効率的な製造が可能となります。
当社ではこの両方の製造法を採用しており、両方の製造法を最終工程まで採用しているのは当社が世界で唯一となっております。
イオン交換樹脂法には、原料となるかん水の量に応じて、製造設備を大規模なものから小規模なものまで対応できることや、低温かん水からのヨウ素製造に適しているといった特長があります。
このイオン交換樹脂法は、当社とオルガノ株式会社との共同研究によって世界で初めて開発に成功した方法で、開発から半世紀以上たった現在でも利用される画期的な技術です。
イオン交換に使われる樹脂です。
新しい樹脂(写真左)は薄黄色ですが、ヨウ素イオンを吸着することで真っ黒(中)になります。
抽出後も樹脂(右)は再利用され、可能な限りロスが少なくなるようにしております。
この製造方法ではヨウ素を抽出する「放散」と、抽出したヨウ素を濃縮する「吸収」という2つの工程をブローアウト塔のみでまかなえるため、製造工程を簡略化できるという特徴があります。
当社では2010年4月よりブローアウト法でのヨウ素製造を開始して以来順次導入を拡大し、ヨウ素の増産体制を整備しております。